城崎温泉
ケンユーが装着した最新化学兵器である
シューズ用カッパは絶大な効果を発揮する。
シューズが濡れない。つまり心も濡れない。
雨などもろともせずに走ると辿り着いた。
天橋立である。今回のブルベ、
天橋立を突っ切るのがコースになってる。
ダートながらロードで走れる。
ところどころ写活しながら渡りきる。
一度、天橋立を山頂から見下ろしたいが
今回もその山は叶わず
そこからさらに西へ走る。すると
どうやら見覚えのある道に出る・・・
「そうか!ここタンイチの時に通った!」
ケンユーは去年の夏に嘘みたいな快晴の中
タンイチでタンゴブルーを味わった
久美浜を目指していたのである。
あの時は空が真っ青。
今回は雨で顔が真っ青。
悲壮な面持ちで走り続けるケンユーは
久美浜を突き抜けてついに過去にトランポ
でも侵入したことない西側諸国に突入。
路面はいい。車幅も広い。車も少ない。
非常に走りやすい。雨でなければね
数えきれないアップダウンと隧道を抜けて
ついに兵庫県に侵入。
おそらく自走で兵庫県入りは初。嬉しい。
もはやどこを走っても初めて走る道。
雨は降り続けているが一周回って
ケンユーの気分はよろしい。走り続けると
ついに「城崎温泉」の文字が踊り出した。
すぐにチェックポイントにもなってる
城崎温泉駅に到着。ここで半分。
周りは観光客まみれ。外国人観光客の
浴衣姿のカッコ良さに見惚れてると
「足湯」の文字を見つける。
これは入るしか選択肢がない。
ずぶ濡れのシューズ用カバーを外し
ずぶ濡れのビンディングシューズを脱いで
ずぶ濡れのソックスを脱いで足湯に浸かる。
昇天する気持ちよさである。
「もはやこのままDNFでもいいだろう」
そんな思考が支配していくのが怖くて
足湯から無理やり足を引き抜いた。
足湯で暖まった足にずぶ濡れの
ソックスを履き、ずぶ濡れのシューズを履き
ずぶ濡れのシューズ用カッパを纏う。
にしてもこの駅、絵になる。しかし
ここで感傷に浸ってる訳にはいかない。
まだここから200kmある。
日が暮れ出す。ここからは山区間。
雨は止む気配はなかった。
このブルベ中、ずっとカッパ着てた。
これ、雨はもちろんだが防寒になる
〜つづく〜