中仙道
琵琶湖に別れを告げて二人は西へと走る。
関ヶ原を越えて岐阜県に突入。
改めてここから岐阜県に入るのが
最も負荷が小さい。
しかしケンユーは知っている。
岐阜県が地球よりも大きいことを。
以前、車で乗鞍へ向かった際に、
4時間走り続けても岐阜県が終わらなかった
ことをまるで昨日のことでないように
覚えているのである(ほな普通やん)。
関ヶ原から垂井町へ、そして大垣市から
瑞穂にいけどもまるで終わる気配はない。
各務原をつっきるとやがて城が見えてきた。
犬山城🏯であった。
これは立派である。岐阜城といい
岐阜にある城は落としにくいだろう。
んなこと考えながら走ってると
これまで続いた街並みが消えて行く。
人の気配の少ない道へ誘い込まれる。
しかしすこぶる雰囲気がいい。
「中仙道」である。
こちらは「細久手宿」
お次は「大湫宿」この後も次々と
雰囲気ある宿が現れる。本当は
ガッツリ撮影したいが時間に余裕がない。
手慣れた盗撮者のように無駄のない
所作で撮影して数秒でその場を去る。
にしても今回のブルベはいつもと違う。
普段なら我々が走ってると、我々より
1時間、2時間後にスタートした参加者に
抜かれまくるのである。それが今回は
我々が最後尾スタートということで
誰も抜いてくれない。かといって我々が
1時間早くスタートした参加者を抜く
なんて到底ありえない。どれだけ前を見ても
反射ベスト🦺を着こなしたローディーは
視界に入ってこない。まぁ前回の雨の
400kmブルベも少なかったので慣れてる。
淡々と進む。今のところ身体に異常はない。
しかしこのコース「前半と後半の200kmは
平坦!」と記載があったがそのあとの分に
「真ん中200kmについては言いません!」
とあった。この制作者も悪魔だろう。
トータルの獲得標高は6000m超えてたので
未来中年ケンユーの推理によると
「真ん中200kmは山である!」
ドヤ顔のケンユーをいとちゃんは
落ち着いて既読スルーして進む。
中津川宿が見えてきた。もう夜である。
ここ素晴らしく美しい。
ここでチェックポイントがあった。
待ってくれていたスタッフが伝えてくれた。
「ここで補給しないしばらく何もないです」
「やはりこの先は山なのでは?」
彼の推理を月はやさしく嘲笑っていた。
〜つづく〜