crossorigin="anonymous"> 雨のブルベ400km④ - ケンユーのロードバイク日記

ロードバイク

雨のブルベ400km④

漆黒の雨のヒルクライム

城崎温泉の足湯で足と心を温めて

ケンユーは走り出した。ルートを

見る限りここからが山区間。

この先、補給が困難と思いコンビニで

ガッツリ食べこむ。ブルベの難しいのは

知らない場所を走るので次の補給ポイントが

分からないのが辛い。ケンユーのだいたいは

「この辺で食べとかなこの先、なさそう」

この感覚のみでどうにか生き残ってる。

今回も哀しいかなその勘は大正解。

ここから10時間はコンビニエンスストア

というまさに便利な建造物に会えなかった。

山に向かって走る際に道路案内の看板に

「左折→京都 右折→鳥取」と記載。

鳥取?

鳥取てあの鳥取?鳥取に自走で行ける

なんて考えたこともなかった。滋賀県から

鳥取県なんて陸地が繋がってる感覚は

ここ40年なかった。この今走ってる

兵庫県て、太平洋にも日本海にも

面している稀有な県である。改めて

新大陸を走っている喜びを感じるも

ここからどんどん山へと向かう。

そして暗闇がお迎えしてくれる。

雨はケンユーを抱きしめ続ける。

もはや足湯の温もりなど子供の頃の想い出。

覚悟はしていたので淡々と登る。

街灯はない。ライトで照らすのは

漆黒のルート。明るい未来は見えない。

聞こえてくるのはカエルの大合唱。

微笑ましい音量ではなくむしろ爆音。

何時間か雨の中の闇を走ってると

五感が閉ざされているので自分と

向き合いやすくなる。このままでは

悟りが開けてしまいそうになる。

雨降ってる中でスマホを濡れないように

ジップロックに入れているので

安易に写真撮れないのが辛い。

久しぶりに見た人工的な灯りを見る。

自動販売機である。

缶コーヒーは身体より心を暖めてくれる。

温まった体で先へと進むとついに

京都府福知山に侵入。

しかしあまりに知らない土地で

全く安堵感はない。

まだ残り150kmはあったはず。

福知山から雨のダウンヒル。

落車しないように気をつけて降りる。

ようやくホモサピエンスの文明らしき

土地が見えてきた。

福知山城であった。

撮影はそこそこに先を急ぐ。

綾部を走る。雨は全くやまない。

ここで今回困ったのがスマホ。

全身びしょ濡れなのはいいとして

スマホを取り出してパスコードを

解除する際に、普段はApple Watchが

あるので解除してくれる。しかし

Apple Watchが充電切れ。それは予想

していたので手入力で入力したいのだが

手が濡れていて画面が反応しない。

サドルバックに入れてるタオルも衣服も

ずぶ濡れで画面の水分を拭き取る術がない。

はぐれたコマミーに電話がかけれないし

今度はかけてきてくれた電話に出れない。

コンビニにかけこんでトイレで

トイレットペーパーを少しいただいて

ようやく水分を拭き取る始末だった。

暗闇の綾部を通り抜けついに亀岡に突入。

ケンユーはようやく安堵した。

「ここからなら走って帰ったことがある」

安心したらお腹すいたので、

すき家で牛丼を書き込む。

染みる。しかしそれ以上に

股擦れで皮膚が染みる。

持病の300km以上走るとお尻と股の

皮膚が摩擦に負けて座れなくなる病が

発病したのである。

まだゴールまでは70kmほどある。

またもやこれである。

ダンシングオールナイト

〜つづく〜

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