ラスボスへの挑戦
ケンユーはこれまで、200km、300km、
400kmのブルベ認定もらえたが
本日はラスボスである初の600km。
スタート地点は米原駅。

米原駅、始まって以来、過去一の数の
ホモサピエンスが集結した(嘘)。
エントリー者数は100人だったが当日に
実際に参加されたのは70人くらいだった。
今回集まったメンツ、もう走る前から
オーラが溢れてる。誰も意気込んでない。
「よっしゃやったんでー!」とか
「うわぁどうしよう!600kmとか無理〜」
て人がいない。みんな笑顔でフラット。
ただしケンユーは見つけた。ブルベの総本山
パリブレストパリの日本人記録保持者である
「ブルベの鬼」こと三船さんと
日本縦断のギネス記録を塗り替えた
高岡さんが青白いオーラを纏っている。
「うわ!この人たちと走れる♪」
もうこのスタート前にケンユーのブルベは
成功していた。ブリーフィング(簡単な説明)
を終えて呼ばれた者から順にスタート。
ケンユーの名前が呼ばれたのは
残り10人くらいの後半だった。
ついに600kmの旅が始まり出した。
同行した いとちゃんとは苦労することなく
合流に成功。我々のペースで走りだす。
しかし目の前にいた他の参加者が
どんどん小さくなり視界から消えていく。
「あの人達、残りあと598kmあるの知ってる?」(きっと知ってはると思います)
とはいえ頑張って追いかけてはいけない。
ペースを変えずに淡々と走る。しかし
しばらくするとケンユーの隣を新幹線が
駆け抜けたように抜いていく方が・・・
高岡さんでした。
「くそっ!高岡さんに抜かれた!残り590km
地点までは俺の方が前にいたのに!
残り590kmてところで捲られた!惜しい」
と謎めいた負け惜しみをしてみたが
名前を呼ばれたのが先だっただけである。
余呉湖を横目にさらに北上していく。
これまで福井県には小浜や敦賀方面からしか
侵入したことなかったので新鮮。
栃の木峠と書いてある。

福井県に入り最初のチェックポイント地点
である越前大野の結ステーションに到着。

最初のチェックポイントが120km地点とか
笑うしかない。
「普通120kmも走ったらだいたいの
ライドは終わりやがな」
ケンユーの脳内では既にサライが
流れている。ゴール地点の日本武道館では
徳光さんが泣いて実況しているが
ケンユーが到着する気配はまるでない。
すでに谷村新司の声は枯れている。
しかも流れてるサライの歌詞がサビの
「桜〜ふぶ〜きの〜サライ〜の空は〜」
以降の歌詞が分からないため、
永遠にこのフレーズが繰り返されている。
時々「ラララ ララ〜ラ ラララ ララ〜ラ
胸が〜震え〜た〜」
これはアレンジでしょうか?
覚えてる歌詞がようやくでてきた
としか思えない。残り39時間、
谷村新司はこの僅かな歌詞でゴールまで
歌えるのかケンユーは心配していた。
人を思いやる心を持つ彼の優しい一面である。
〜つづく〜