crossorigin="anonymous"> ルモンヒルクライム - ケンユーのロードバイク日記

ロードバイク

ルモンヒルクライム

ケンユーは今朝も早く目が覚めた。

まだ4時台。本日も仕事。

でも出勤は昼前からでいい。

天気は曇り。休みの土日は雨予報。

「今のうちに走っておくか・・」

朝焼けの鈍い光に照らされた

ケンユーはライドの準備を始めた。

行き先は「滋賀県内のローディーの

朝練と言えばここ!」

と言えば過言であるルモンこと金勝山。

ルモンのタイムを聞けばだいたい

そのローディーの実力が分かる

ヒルクライムコースである。

初チャレンジで足つきなしで登れたら

「凄いね」と言ってもらえ、

30分をきると「そこそこやるやん!」

25分をきると「速いですねぇ♪」と称賛され

20分をきると崇拝されて信者が出来て

滋賀県内なら歩けばモーゼの十戒のように

道が開けるのは言うまでもない。

最近のケンユーはどうにか30分を

きれるかどうかであった。

ケンユーはスタート地点で覚悟を決める。

「今日こそ数年間更新していない

プライベートレコード(25分)出してやる」

曇天の中、ケンユーの鋭い眼光が

ヘッドライトのように雲を切り裂いている。

フラッグが降りて一人きりの

レースの幕が開けた。

スタートすぐに挨拶がわりの勾配15度の

坂が迎えた。鋭かったケンユーの眼光は

開始5秒でその光を失う。

「しんどい、もう帰りたい」

涙で前がよく見えないケンユーだが

視覚が弱ったおかげで小鳥のさえずりが

いつもより多いことに気がつく。

「俺を応援してくれているのか?」

耳を済ましてみる。

なんなら目も閉じてみる。

「半端にみえるくらいなら!」と

豊玉戦で目を閉じたスラムダンクの

流川のマネである。

すると鳥だけではない、

彼を囲む木々が風で揺れてい音、

流れゆく川のせせらぎ、

いずれも美しい音色を奏でている。

「小鳥さん、おはようございます!」

「青紅葉さん、今日もよろしくです!」

ケンユーはおもわず山に語り出してしまう。

すると金勝山のそれぞれも返事してくれる。

やがて彼はこれまで登ってて

感じたことないパワーが体内に

流れ込んできていることに気がつく。

「こ、この感じ、なにかの文献で

聞いたことがある!そうだ!

ドラゴンボールの元気玉だ!悟空は

こんなパワーを地球からもらっていたのか!

ケンユーは力に漲っている。

NARUTOで言うなら仙人術である。

山と一体化しているのである。

足取りはかつてないほど軽く、

呼吸は穏やか、心拍も落ち着いている。

ルモンには勾配15度越える箇所が

いくつかあるのだがまるで下り坂に

思えるほど軽やかに登っていく。

周りの木々も岩も彼を応援してくれている

「あと少しだよ!」

「そこに枝が落ちてるから気をつけてね」

「俺は一人じゃない、みんなで登ってるんだ

今、頑張らないでいつ頑張るんだ!」

彼はさらに心のギアをあげる。醜く歪んだ

顔を上げると遠くにゴールが揺れている。

ここからの100m、弱虫ペダルなら

ここから中学校の回想シーンで

2ヶ月は要したであろうが

よく考えたらケンユーにそんな

いい中学生の思い出はなかった・・・

ケンユーはラストスパートする。

バイクを左右に振る。太ももからは

ブチブチと筋肉がちぎれる音が弾ける。

構わない。1秒削るためならば!

ラストでハンドルを前に突き出す。

ケンユーはゴールした。

ケンユーは電光掲示板に目をやる
(そんなものはないのでサイコン)

自然と一つになって登り終えた

そのタイムは・・・

35分🤣どちゃくそ遅い!

要はのんびりルモン登ったのを

まどろっこしく書くとこうなるというお話。

ここまで読んでしまった貴方、申し訳ない。

まさか本当に最後まで読んでしまうとは・・・
私でもよみかえしてないのに。

娘を駅まで迎えにきたのはいいものの

なかなか来ない間に駅で書いたなんて

口が裂けてないけど言えない。

-ロードバイク